敏腕CEOは初心な書道家を溺愛して離さない
 香澄から漏れる甘い声に煽られるようにして深いキスをした。
 香澄は感じやすいのかこらえきれないような声がたまらなかった。

 初めて会った時は写真との印象があまりにも違うことに驚いた。
 写真と同じように美人であったけれどもっと気が強そうな印象だったから。

 自己紹介はいらないと言ったら、反発するかと思ったのだが香澄は戸惑ったような表情を見せただけだった。

 その時は政略的なものだから顔を合わせればそれで十分だと思っていたのに、その香澄の戸惑ったような顔が頼りなく、神代の心に引っかかったのだ。

 食事をしている間も神代はそのようすをつぶさに見ていた。
 結婚したら一緒に過ごすうえで食事の仕方というのは、合う合わないが大きいと神代は思っている。

 品のない食事の仕方やペースが合わないようなことがあればそれもストレスとなる。そういった意味で香澄の食事の仕方は好ましいものだった。

 店の人への対応は丁寧でこちらが客だからと高飛車になることもない。
 食事が自分の前に運ばれてきた時は素直に嬉しそうな表情をする。

 食事をする店は神代が選択したものだったので、喜んでもらえればこちらも嬉しいし、気が合うなと感じる。
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