敏腕CEOは初心な書道家を溺愛して離さない
 こうなるとなんと説明してよいか分からない。
『え!? 香澄ちゃん大丈夫? 私が断ろうか? 香澄ちゃん、優しいからなぁ』

「もう! 菜々美ちゃんは最後まで私の話を聞いて! あのね、素敵な人だったの」
『は?』
 目を丸くする菜々美の姿が見えるようだった。

『あの、さ、香澄ちゃんはうちの家族にバラさないって分かってるから言うんだけど、もし都合が悪くなかったら会えないかなぁ? 直接会ってお詫びしたり伝えたいことがあるの』
 それはとても真剣な声だった。

 もちろん菜々美の言う通り、菜々美の家族に香澄が即座に伝えることはしない。

「うん。叔父さんには言わないわ。私は菜々美ちゃんが元気だということが分かっただけでもよかったもの」
『香澄ちゃーん』

 親族はどう思っているか知らないが、菜々美と香澄は仲の良い従姉妹同士なのだ。
 電話を切ったあと、メールアプリに登録申請があった。

 叔父からは菜々美が家族からのメールアプリをブロックしてしまって連絡がつかないと聞いていたが新しいアカウントも作っていたらしい。

 本当にいろいろと聞かなくてはいけないことがあるようだった。
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