敏腕CEOは初心な書道家を溺愛して離さない
菜々美は香澄とは違う本家のお嬢様だ。
「大ちゃんはね、ずっと会席料理をお勉強をしてた料理人で、一目惚れしちゃったの」
「一目惚れ……」
ない、と今なら言い切れない香澄だ。
「最初は一目惚れだったんだけど、今は違うよ! お料理に対する気持ちとかお店のこととか本当に尊敬してて……」
言葉を濁らせてしまったけれど、菜々美が言いたいことは香澄にも分かる気がした。
「好きなのね?」
こくんと菜々美が頷く。
「本当に好きなの。離れたくない。そんな時に出てきたお見合いの話だったし、父は話を全然聞いてくれなかったし、そうこうしているうちに大ちゃんはお店を退職しちゃうし。いなくなっちゃうから必死で探したの」
「あ……うん」
いなくなっちゃった立場の香澄としては、探して追う方に責められるとなんとも言えないものがある。
「必死で探している間に、本当に大事な人なんだって気づいたの。家出までするのはもちろん大ちゃんには反対されてる。それは今でも。けど、あの父が納得するとは本当に思えなくてね。そしたら、私のお見合いの身代わりで香澄ちゃんが行ったって聞いて、もう焦ったよ」
「誰から聞いたの?」
「うちのお手伝いさん」
菜々美はけろっと言う。
そんなところから話が漏れていたとは思わなくて香澄は脱力してしまった。
「大ちゃんはね、ずっと会席料理をお勉強をしてた料理人で、一目惚れしちゃったの」
「一目惚れ……」
ない、と今なら言い切れない香澄だ。
「最初は一目惚れだったんだけど、今は違うよ! お料理に対する気持ちとかお店のこととか本当に尊敬してて……」
言葉を濁らせてしまったけれど、菜々美が言いたいことは香澄にも分かる気がした。
「好きなのね?」
こくんと菜々美が頷く。
「本当に好きなの。離れたくない。そんな時に出てきたお見合いの話だったし、父は話を全然聞いてくれなかったし、そうこうしているうちに大ちゃんはお店を退職しちゃうし。いなくなっちゃうから必死で探したの」
「あ……うん」
いなくなっちゃった立場の香澄としては、探して追う方に責められるとなんとも言えないものがある。
「必死で探している間に、本当に大事な人なんだって気づいたの。家出までするのはもちろん大ちゃんには反対されてる。それは今でも。けど、あの父が納得するとは本当に思えなくてね。そしたら、私のお見合いの身代わりで香澄ちゃんが行ったって聞いて、もう焦ったよ」
「誰から聞いたの?」
「うちのお手伝いさん」
菜々美はけろっと言う。
そんなところから話が漏れていたとは思わなくて香澄は脱力してしまった。