敏腕CEOは初心な書道家を溺愛して離さない
『実は今日時間ができたので、急遽教室の方に寄ったんです。呼び鈴を押しても出てこないし、誰かがいる雰囲気でもない。電気はついたままだし、実家をお訪ねしてもお出かけした気配はないというから』
ひゅっと背中が凍るようだった。
「あの……それは……」
近くで話しているのを見ている菜々美が首を傾げている。
「えっと……ごめんなさい!」
今度は香澄が詫びる番だった。見ていた菜々美がぎょっとしている。
どうやら神代は教室の方に寄ってくれたらしい。慌ててスマートフォンを見ると確かに着信があった。香澄がそれに気づいていなかったようだ。
香澄は電話で菜々美が見つかった経緯を神代に伝えた。電話の向こうからため息が聞こえてくる。
『お二人とも無事ならいいんです。で、香澄さんは今どちらです?』
香澄が今いるところの場所を伝えると即座に『迎えに行きます』と神代の声が聞こえた。通話ボタンを切って、香澄がそっと顔を上げると菜々美が三日月のような目をしながら香澄を見ていた。口元は堪えきれないような笑みが浮かんでいる。
「く……っ」
下唇を噛みしめて香澄は顔を横に逸らせた。
「えーと? 今のは誰かなぁ? 香澄ちゃん?」
──に、逃げられないわっ。
ひゅっと背中が凍るようだった。
「あの……それは……」
近くで話しているのを見ている菜々美が首を傾げている。
「えっと……ごめんなさい!」
今度は香澄が詫びる番だった。見ていた菜々美がぎょっとしている。
どうやら神代は教室の方に寄ってくれたらしい。慌ててスマートフォンを見ると確かに着信があった。香澄がそれに気づいていなかったようだ。
香澄は電話で菜々美が見つかった経緯を神代に伝えた。電話の向こうからため息が聞こえてくる。
『お二人とも無事ならいいんです。で、香澄さんは今どちらです?』
香澄が今いるところの場所を伝えると即座に『迎えに行きます』と神代の声が聞こえた。通話ボタンを切って、香澄がそっと顔を上げると菜々美が三日月のような目をしながら香澄を見ていた。口元は堪えきれないような笑みが浮かんでいる。
「く……っ」
下唇を噛みしめて香澄は顔を横に逸らせた。
「えーと? 今のは誰かなぁ? 香澄ちゃん?」
──に、逃げられないわっ。