敏腕CEOは初心な書道家を溺愛して離さない
「香澄さん、書いている姿が本当に綺麗だ」
(そ、そんなに感動されるなんて思わなかったわ)

 吉野と菜々美がきゃっきゃしながら外に貼りに出ていく。
「とっておいて、また休む時に使うようにしようかな」
「そうだね! 可愛いし、カッコいい! さすが香澄ちゃんだわ」

 残された香澄は上目遣いでちらりと神代を見る。
 先ほどは神代が本当に怒っているようで少し怖かったし、悲しかった。

 今はそれほど怒ってはいないようだ。軽くため息をついた神代は苦笑して髪をかきあげた。

「出かけてはダメだと言っているわけではありません。連絡がつかなかったし、香澄さんは勝手にお出かけをするような人ではないと聞いていたので動揺したんですよ」

「はい……あの、すごく心配したんですか?」
「それは当然でしょう」

 とても心配したと言われれば申し訳ない気持ちになった。
「本当にごめんなさい」
「あとでおしおきです」
「おしお……き?」
(……って、なに?)

 全く想像がつかず、動揺しているところに吉野と、菜々美が戻ってきた。
「あれ? 香澄ちゃん、顔赤くない?」
「え? それは気のせいかと……」

「他人のお店でえっちなことしてないでしょうね?」
「してないわよっ! 菜々美ちゃん、なんてこと言うのよ!」
 真っ赤になった香澄が両手で顔を覆ってしまう。
< 90 / 196 >

この作品をシェア

pagetop