敏腕CEOは初心な書道家を溺愛して離さない
「お茶にしましょう」
 そう言ってキッチンに向かう神代を香澄は慌てて追う。
「私がやりましょうか?」
「うちはイギリス式なので、一緒にやりますか?」

 一緒に……そう言われるのがとても嬉しい。神代がお客さま扱いをせず、座っていてくださいと言われることより香澄にとっては嬉しいことだった。

 そういえば、神代は祖母がイギリス人なのだ。ふと見上げる横顔は整っていて、いつも見蕩れるほど端正だ。

「お茶と……」
 そういってアリスのティパーティにでも出てきそうなティーポットを神代はカップボードから取り出す。

 その取り出す時の腕を伸ばす仕草なども、神代の腕は長くて男性的でどきどきしてしまう。
 神代は香澄も知っているブランドのお揃いのカップもキッチンのカウンターにそっと置いた。

「スコーンがあればよかったんですけどね。スコーンはないのですがショートブレッドがありますから、これにしましょう」
 神代が茶葉やお菓子の容れ物をカウンターに並べてゆく。
 香澄はショートブレッドというお菓子を初めて見た。

「祖母の地元のベーカリーのショートブレッドなんですよ」
「ショートブレッド? 短いパンですか?」
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