復讐は溺愛の始まり 〜一途な御曹司は愛しい彼女を逃がさない〜
 「結愛……大丈夫……?」

 トイレのドア越しに声をかけるものの、苦しそうにしている結愛の様子が聞こえてきて、私はトイレの前をウロウロとした。

 一体どうしたんだろう?何か重大な病気だったら……。

 一瞬そんな不安を煽るようなことを考えてしまい、慌てて頭を振りながらその考えを打ち消した。

 「ごめん、お姉ちゃん。多分出汁の匂いがダメなんだと思う。もしかしたら卵もダメなのかも」

 口を拭きながらトイレから出てきた結愛は、さらにげっそりとした顔をしている。

 「わかった。だったら雑炊は片付けちゃうね。結愛……本当に大丈夫?最近本当に悪い風邪が流行ってるよね。もし辛いようだったら、今からもっと大きな病院で診てもらおうか?」

 背中を撫でながら顔を覗き込むと、結愛は「ううん」と首を横に振った。

 「あ、あのね、お姉ちゃん、ちょっと話したいことがあるんだ」

 結愛は何故かかなり緊張した面持ちで、ポケットから一枚の写真のようなものを取り出した。

 眉根を寄せたまま、私はその白黒の写真のようなものを受け取る。見た感じ超音波写真のようだ。白や黒のなんだかごちゃごちゃしたものが写し出されている。

 「それね、今日病院で撮ってもらったの」
 「そうなの?……これ何の写真……?」
 「えっとね、今、妊娠7週目らしいの」
 「へっ、誰が?」

 結愛が一体何の話をしているのかわからなくて、超音波写真から顔を上げると思わず間抜けな声を出した。

 「えっとね……私……」
 「…………」

 私はエコー写真を握りしめたまま何度か瞬きをした。

 にん……しん……?
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