復讐は溺愛の始まり 〜一途な御曹司は愛しい彼女を逃がさない〜
 確かにエコー写真には、黒い影の真ん中あたりに豆つぶのような胎芽が写し出されている。

 「妊娠って……ええっ、妊娠!??ま、まさか意に沿わないことを無理やりやられたんじゃ……」

 クワっと今にもその見えぬ男に飛びかかろうとした私に、結愛は慌ててブンブンと首を横に振った。

 「違う違う!!えっと……そのね。今お付き合いしてる人なの。私の上司なんだけど」
 「付き合ってる?上司???」

 私は再び素っ頓狂な声を上げた。ますます混乱してくる。だって、結愛の上司といえば──…。

 「そう。えっと……柏木常務」
 「柏木常務って……ええっ!?あの柏木常務!??」

 柏木常務は結愛が今勤めている柏木商事の社長の三男で、いわば東儀社長と同じように大企業の御曹司だ。そんなすごい人物とこの短期間にそんなことになっていたなんて全く知らなかった。

 「その……彼に告白されて。ごめん」
 「いやいや、なんで謝るの」

 私の視線は結愛の真っ赤な顔とエコー写真を何度も行き来する。なんだか軽く目眩がしてきて、手で額を押さえるとよろよろと椅子に腰掛けた。

 (えっ……ちょっと待って。結愛があの柏木常務と?いつそんなことになってたの?)

 「実は具合が悪いって話をしたら、柏木常務が一緒に病院に行こうって言ってくれて。それでお昼に一緒に産婦人科に行ったの。そしたら本当に妊娠してて……彼すごく喜んでて……。お姉ちゃんに直ぐにでも会って挨拶したいって言ってる」

 「う、うん、私はいつでもいいよ」
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