復讐は溺愛の始まり 〜一途な御曹司は愛しい彼女を逃がさない〜
 その彼だが1人静かに飲んでいて、その姿からはとてつもない大人の男の色香が漂っている。先程から後ろのテーブル席で飲んでいる女性2人が、チラチラと彼を見ながら何かこそこそと話しているのが見える。

 写真で見るよりもかなりのイケメン。その存在感は圧倒的で、やはり女性に苦労なんて一度もしたことなんてなさそうな容姿をしている。きっと女性との経験も豊富。そして、おそらく私より何枚も上手だ。

 (本当にこんな男性を誘惑して、一晩を一緒に過ごすなんて事、私にできるの……?)

 少し不安になりながらも、再びポケットの中にある小瓶を握りしめた。汐梨は絶対に大丈夫と言っていたが、実際にこの方法が成功するなんて確証はない。



 「お待たせいたしました」

 バーテンダーの声で我に返った私は、慌てて東儀崇人から目をそらした。

 「どうぞ。テキーラサンライズです」

 そっと目の前に置かれたのはオレンジ色のロングカクテル。底はグレナデンシロップの赤色。そして徐々に上の方へいくとオレンジ色のグラデーションになっている。

 まさに名前の通り、朝焼けの空のような綺麗なカクテル。たしかこのカクテルの言葉は、熱烈な恋……だったと思う。


 「わぁ、綺麗!ありがとうございます」

 グラスにはオレンジの皮で作ったまるで太陽のような飾りがついている。

 (かわいい……)

 味もそうだが、カクテルはこうやって綺麗に作られたのを見ているだけでも楽しい。ストローで少し混ぜて飲んでみると、オレンジの酸味とグレナデンシロップの甘さ、そしてテキーラがマッチしている。

 (うん、美味しい〜)

 再び口に含みながら、東儀崇人をチラリと盗み見た。
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