復讐は溺愛の始まり 〜一途な御曹司は愛しい彼女を逃がさない〜
 忍び足でラウンジチェアまで歩くと、バスローブを手に取った。でもバスローブにポケットなどやはりない。

 (ど、どうしよう……。どこでなくしたの?)

 床に這いつくばってベッドの下を覗いて見るがやはりどこにも見つからない。

 必死になって寝室中を探しまわっていると、突然ゴソゴソと彼の動く気配がして、慌てて床から顔を上げた。


 「ん……もう朝か……?」

 (た、大変!!今すぐ逃げないと……!!)


 私は身を翻すと、リビングルームまで信じられない勢いで走った。

 「……逢莉……?」

 彼の寝起きの掠れた低い声が背後に聞こえる。大慌てでバッグとコートを掴むと玄関に向かった。

 「逢莉!!待て!!」

 追ってくる彼の気配を背中に感じながら玄関のドアを開けると、未だガクガクと子鹿のように震える足でエレベーターホールまで全速力で走った。


 「早く……早くエレベーター来て!」

 「開」ボタンを連打で押しながら後ろを振り返る。服を着るのに時間がかかっているのかまだ彼の姿は見えない。

  ポーン

 さすが高級マンションだからなのか、それとも早朝で誰も使っていないからか、エレベーターがすぐに来てドアが開く。

 急いで乗り込むと今度は「閉」のボタンを連打した。エレベーターはすぐに閉まり一気に一階まで下降する。

 一階でドアが開くと、エレベーターから飛び出して、彼のマンションが見えないところまでひたすら走り続けた。
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