復讐は溺愛の始まり 〜一途な御曹司は愛しい彼女を逃がさない〜
 「おはようございます。ブリッジ・インターナショナルの橘花と申します」

 私は再び自分の名前を名乗った。

 「はい。承っております。少々お待ちください」

 彼女は受話器を取ると、内線で私がここにいることを誰かに伝えた。


 「橘花さん、お待たせしました!」

 3分もしないうちに、ショートカットの元気な女性がエレベーターから降りてきた。歳は30代後半といった感じだろうか。きちっとしたかっこいいスーツを身に纏っていて、いかにも仕事ができそう。それに明るくハキハキと話す彼女は感じが良くて好感が持てる。

 「初めまして。東儀の第二秘書をしています、柚葉と申します。よろしくお願いします」

 「初めまして。こちらこそよろしくお願いします」

 なぜ社長の第二秘書が私を迎えに来るんだろう……と疑問に思いながらも深々と頭を下げた。

 彼女はそんな私にニコリと微笑むと、「では早速ご案内しますね」と言ってエレベーターへと乗り込んだ。

 
 (……?)

 彼女が最上階である20階のボタンを押すのを見ながら、私の頭の中は疑問符でいっぱいになる。

 私って一体どこの部署と一緒に仕事をすることになるんだろう。海外事業部とか貿易部だとかグローバルサービス系の部署だろうか……?

 東儀トレーディングは、名前の通り東儀ホールディングスのグループ会社や子会社の国内工場向けの資材や設備の調達とその管理、そして海外生産工場向けの部品や設備の輸出など国際取引を担う業務全般を行なっている。

 社員数は国内の事業所も合わせおよそ700人。海外の現地法人も合わせるともっといる。もちろん海外との取引を専門に行うので、通訳が必要どころか社員の多くはそれなりになにかしらの言語が話せるに違いない。
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