復讐は溺愛の始まり 〜一途な御曹司は愛しい彼女を逃がさない〜
 「お姉ちゃん、この半年かなりの激務だったよね。少しは落ち着きそう?」

 「うん、今の契約もこれで終わりみたい。無事クライアントの工場設置も完了したし、ヨーロッパでのエキスポも無事終わったしね。しばらく海外出張はないと思う」

 現在私は『ブリッジ・インターナショナル』という通訳専門の派遣会社に勤めている。主な取引先は政府官公庁や大手企業で、登録社員は全国におよそ1000人。長期の契約社員として派遣される場合もあれば、短期のイベントに派遣される事もある。派遣されない時は、オフィスで翻訳の仕事などをしている。

 今回は大手総合化学メーカーに契約社員として派遣された。

 海外へ事業展開することになり、工場やオフィスを設置したりするのに通訳が必要となった。この半年は、契約先の社員や役員達と共にアメリカやヨーロッパに何度も随行していた。その為殆ど家にいない状態が続いていた。

 「そっか。お姉ちゃん凄いよね。仕事ができてカッコいいなぁ……。私もお姉ちゃんみたいになりたいな」

 「これでも初めの頃はいろいろ失敗して、怒られたことが何度もあるんだから。結愛もそのうち経験を重ねて、仕事ができるかっこいいキャリアウーマンになれるよ」

 そう笑いながら結愛が作ってくれた卵焼きをパクッと一口くちにいれた。結愛の作る卵焼きはいつもちょっと甘めで優しい味がして美味しい。

 モグモグと食べながらふと結愛に視線を落とすと、あまり食欲がないのか鮭を箸でつついているだけで殆ど何も食べていない。

 未熟児で生まれ、今でも体が小さく食の細い彼女だが、よくよく見ると以前よりもなんだか痩せていて、目の下には大きなクマもある。
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