復讐は溺愛の始まり 〜一途な御曹司は愛しい彼女を逃がさない〜
 (やっぱり最初からバレてたんだ……)

 エレベーターの隅に慌てて逃げ込むと、怯えた目で壁にへばりついた。

 「逢莉……一体どこに逃げるつもりだ?」

 彼はクツクツと不遜な笑みを浮かべながら近づいてくる。エレベーターの壁にトンと手をついて私を閉じ込めると、目の前で小さな小瓶を振った。

 「これ、中身はなんだろうな?俺にあの夜何を飲ませた?」

 ちゃぷんちゃぷんと目の前で揺れる透明の液体を青ざめながら見つめた。媚薬だなんて口が裂けても言えない。唇をキュッと引き結ぶとフルフルとひたすら首を振った。

 「なるほど……。人に言えないようなものを俺に飲ませたってわけか……」

 うっと言葉に詰まっていると、ポーンと音がしてエレベーターのドアが開く。彼は逃げ出せないように私の腰をグッと抱き寄せると、エレベーターから出た。

 廊下の突き当たりにある部屋まで私をガッチリとホールドしたまま歩くと、いつのまに用意したのか胸ポケットからカードキーを取り出してドアを開けた。

 そこは立派なスイートルームになっていて、大きな窓からは美しい夜景が見える。このホテルに来るのは初めてだが、ヨーロピアンテイストの豪華な内装になっていて、とても綺麗だ。

 恋人達が特別な夜を過ごすのに使うと言うのがよくわかるような気がする。違うシチュエーションだったら、なんてロマンチックなんだろうと感動していたかもしれない。

 そんなことを考えていると、彼は私を部屋の中に押し込めてドアを背後で閉めた。ガチャンとオートロックがかかった音がして慌てて振り返ると、まるで獲物を狙う野獣のような鋭い瞳とぶつかる。
< 79 / 156 >

この作品をシェア

pagetop