巫女&十二支擬人化男子、学園をナイショで守護してます!
「じゃあ私、勾玉にお水をお供えしに行くから。春菜は先に教室に行ってて」

「わかった。後でね」


 春菜といったん別れて、私は資料室のある北校舎へ向かった。

 勾玉はうちの学校の守り神ってことで、毎朝お水をお供えすることになっている。

 お供えの習慣はもうずーっと昔から続いてて、巫女の私が入学してからは私の役目だ。

 資料室に一歩入れば、部屋の真ん中に置かれた勾玉が真っ先に目に飛び込んでくる。

 ほんと、目立つよね。なにしろデカいから。


「さてと、新しいコップのお水と取り換えよう。勾玉が大きいから、お供えのコップも大きくて重いんだよなあ」


 容量1リットルくらいの巨大なコップを交換して、ふと不安になった。

 この勾玉、もしかして……偽物なんじゃ?

 もし怪談話が本当なら、この勾玉になにか問題があるってことでしょ?

 じゃなきゃ普通の水晶が十二色に光るなんてありえないよ。クリスマスツリーじゃあるまいし。

 貴重な品だから、泥棒が入って本物とすり替えたってことは充分に考えられる。

 もしそうなら許せない!

 私は神様なんて信じていないけど、人の信仰心を踏みにじる行為は、いけないことだよ!
< 9 / 113 >

この作品をシェア

pagetop