初めての恋のお相手は
優しい眼差しを向けて、言葉を注ぐ祠堂さん。

祠堂さんはそのまま
私の返事を聞かず、前を向いてしまったけど

私は、その横顔を黙って見つめた。



手放しの優しさに戸惑う。



……この人は
どうしてこんなに良くしてくれるんだろう。


見ず知らずの、赤の他人だった私に
ここまで、良くしてくれるのはなんでなんだろう。


見返りを求めるわけでもなく
恩を売るわけでもなく
ただただ純粋な善意を、優しさを与えてくれる。


なにより私の「見た目」で「私」を評価しない。

ちゃんと、「内面」を見てくれてる。

「私」と真剣に向き合ってくれる。



……こういう人も、いるんだな。



今までの人生で出会った事のない人。



少しだけ、変わっているけど
そんなの気にもならないくらいに
人としての軸が立派で、尊敬できる。



「なぁに?」

「な、なんでもないです」



視線に気づいた祠堂さんが、私に顔を向ける。

私は慌てて顔を逸らして



……変なの。



どうしてか、少しだけ熱くなった頬に触れた。
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