初めての恋のお相手は
「……こちらこそ
失礼な態度を取ってしまって、ごめんなさい」



祠堂さんの背中から出て
勇気を出して、言葉を返せば

あの人は不思議そうに首を傾げた。



「なんで、あんたが謝んの?」

「…え?」

「あんた、なんも悪くねーじゃん
それに、男、怖いんだろ?」

「……は、はい」

「そんな相手に
いきなり距離詰めた俺が悪いだろ」

「…」

「悪い、昔からこうなんだ。許してくれ」

「……はい」



まさか、そんな風に言って貰えるなんて思わなくて、頷きつつも、少し放心してしまう。



「傑は馬鹿だけど、素直だから
自分に非があるって解れば
ちゃんと謝れる子なのよ。馬鹿だけど」

「祠堂さん、それ、褒めてる?
後、馬鹿2回もいらなくね?」



若干傷ついたような表情を浮かべるあの人を
祠堂さんはスルーして、私に笑顔を向ける。


……なんとなく
この人の立ち位置や性格が
どういうものか理解できた。
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