初めての恋のお相手は
10
――…



真夜中に目が覚める。



ほのかに光る、淡いオレンジ。

祠堂さんから貰った間接照明のあかり。

枕元にあるそれが
部屋の中を優しく照らしている。



「…」



その光に、ほっと安堵の息をつく。


上半身を起こして
少し汗ばんだ自分の髪の毛を
くしゃりと掻き上げる。



……また、昔の夢……



熱で寝込んだあの日以降
時々、夢に視るようになった昔の記憶。


乗り越えてきた過去の出来事とは言え

わざわざ思い出したくもない記憶を
度々、視せられることは
私の中で、かなりストレスになっていた。



「…」



ベッドからおりて
ブランケットを手にとって、部屋を出る。


キッチンの冷蔵庫から
水の入ったペットボトルを取り出して
リビングに向かい


閉ざされたリビングのカーテンを開いて
ソファーベッドの脚にもたれ掛かり
ぼんやりと、窓の外を眺める。


今日は満月。


雲もかかってないから
明るい光が直に降り注ぐ。
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