スパダリ救急救命士は、ストーカー被害にあった雑誌記者を溺愛して離さない~必ず君を助けるから。一生守るから俺の隣にいろ~
「すっごい探したんだからね~。なんで引っ越したの?」
 口元は笑っているけれど、目は笑っていない。
 怖い、怖い、怖いっ!

「か……会社に、変な人たちが来て……クビになっちゃって。お金、なくて、それで、住めなく……」
「あぁ、俺が情報屋にルカちゃん探して~って頼んだから? そっかそっか」
 どうしよう、怖い、怖い。

 蓮さんお願い助けて。

 瑠花は必死で祈るしかなかった。
 もう足も痛くて肩も感覚がなくて、こんな体勢では自分で逃げることはできそうにない。
 お願い、早く来て!
 上の階から聞こえたガラスが割れる音に瑠花はギュッと目をつぶった。

「大丈夫か、瑠花!」
 後ろから虎二郎を羽交い絞めにした蓮の姿に安堵した瑠花は、強張っていた身体の力がいっきに抜ける。
 バタバタと何人もの足音が聞こえ、スーツの男性たちが虎二郎を取り囲む姿が見えた。
 スーツの男性たちは蓮と交代し、虎二郎を拘束する。
 手錠でつながったままの瑠花の腕は、くんっと引っ張られた。

「あぁ、すまん。おとなしくしろ!」
 男性は虎二郎をさらに締め上げる。

「……瑠花、腕……!」
 蓮はすぐに力が入らない瑠花の腕に気づいてくれた。

「……おまえ……!」
 今すぐにでも殴ってしまいそうな蓮の服を瑠花は無事な左手で捕まえる。
 震えた手に驚いた蓮は瑠花の左手をそっと包み込んでくれた。

「遅くなってすまない」
 そんなことないと言いたいのに、うまく言葉が出ない。
 気持ちを察してくれた蓮は瑠花を起き上がらせながらギュッと抱きしめてくれた。

 温かくてホッとするいつもの蓮の香りだ。
 気を抜くとすぐにでも泣いてしまいそうな気持ちを瑠花は必死で抑え込んだ。

「……やっときたか」
 振り向く蓮の後ろ、マンションの廊下の塀の外に、はしご車のバスケットが近づいてくる。

「特別高度救助隊です。今からはしごを下します。順番に避難しますので、落ち着いて行動してください」
 救助隊ははしご車のバスケットからマンションの廊下の中に手際よく梯子を下してくれた。
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