スパダリ救急救命士は、ストーカー被害にあった雑誌記者を溺愛して離さない~必ず君を助けるから。一生守るから俺の隣にいろ~
17.投稿
「あと、もう一人、あの人の仲間がいます。ライターで火をつけた人が。火事だと知らせた人です」
瑠花の言葉に、赤ちゃん連れのお母さんが姿を現す。
「だったら、あの人だわ」
指をさされた普通のどこにでもいそうなおじさんは、逃げ出す前にあっさり警察官に拘束された。
大久間も虎二郎も捕まえて、これで解決できたのだろうか。
さすがにもう事件をもみ消すことなんてできないと思うけれど。
蓮は黒い煙を上げながら燃えているマンションを見上げていた。
「全部……無くなったな……」
いい思い出も、悪い思い出も全部という意味だろう。
両親との思い出も、写真も、もしかしたらすべて無くなってしまったかもしれない。
瑠花は蓮の手をそっと握った。
いつもは温かい蓮の手が今日は冷たい。
「蓮さん、これからたくさん思い出を作ろうね」
瑠花が微笑むと蓮は「そうだな」と寂しそうに微笑んでくれた。
「あらやだ、うちが燃えているわ」
「凜さん!」
「瑠花ちゃん、怪我してるじゃない! ちょっと蓮! あんたがついていながら」
「あっ、違うんです。これはあのストーカーのせいで。蓮さんは助けてくれて」
ワタワタと慌てる瑠花に凜はわかっているわと言いたそうな顔でツカツカと虎二郎の前へ歩いていく。
「松岡虎二郎、あなたを悪質なストーカーとして訴えるわ。あと、このマンションの住人として放火犯のあなたに損害賠償請求をするから」
「はぁ? なんで?」
「こんな状態にしておいて『なんで』ですって?」
必死で消火活動がされているマンションを凜が指差すと、虎二郎は振り返りながら肩をすくめた。
「あ~、金か。金だろ? 親父に頼んでなんとかしてもらうからさ」
「あなたのお父さんも選挙違反で逮捕だけれどね」
「そんなのいつもみたいに金を払えば警察だって見逃してくれるじゃん」
その言葉に虎二郎を拘束していた三人の警察官が反応する。
ギリッと締め上げられた虎二郎は「痛い、痛い」と訴えた。
「ねぇ、こじろうくん。警察はどんなことをしてくれるの?」
「おい、余計なことを言うな! 虎二郎! しゃべるな!」
大久間が激しく抵抗してもざわついた周りの人たちの声で、大久間の声は虎二郎には届かない。
「もう少し詳しく教えて。お父さんにどんなことを頼むの?」
「えぇ~? ルカちゃん知りたいの? まぁ、いろいろあってさ」
「なんでもいいの。今までのすごいことを教えて」
すごいという言葉に虎二郎がニヤリと笑う。
瑠花はペン型のボイスレコーダーがまだ赤く点滅していることを確認すると、そっと左手を身体の後ろに隠した。
瑠花の言葉に、赤ちゃん連れのお母さんが姿を現す。
「だったら、あの人だわ」
指をさされた普通のどこにでもいそうなおじさんは、逃げ出す前にあっさり警察官に拘束された。
大久間も虎二郎も捕まえて、これで解決できたのだろうか。
さすがにもう事件をもみ消すことなんてできないと思うけれど。
蓮は黒い煙を上げながら燃えているマンションを見上げていた。
「全部……無くなったな……」
いい思い出も、悪い思い出も全部という意味だろう。
両親との思い出も、写真も、もしかしたらすべて無くなってしまったかもしれない。
瑠花は蓮の手をそっと握った。
いつもは温かい蓮の手が今日は冷たい。
「蓮さん、これからたくさん思い出を作ろうね」
瑠花が微笑むと蓮は「そうだな」と寂しそうに微笑んでくれた。
「あらやだ、うちが燃えているわ」
「凜さん!」
「瑠花ちゃん、怪我してるじゃない! ちょっと蓮! あんたがついていながら」
「あっ、違うんです。これはあのストーカーのせいで。蓮さんは助けてくれて」
ワタワタと慌てる瑠花に凜はわかっているわと言いたそうな顔でツカツカと虎二郎の前へ歩いていく。
「松岡虎二郎、あなたを悪質なストーカーとして訴えるわ。あと、このマンションの住人として放火犯のあなたに損害賠償請求をするから」
「はぁ? なんで?」
「こんな状態にしておいて『なんで』ですって?」
必死で消火活動がされているマンションを凜が指差すと、虎二郎は振り返りながら肩をすくめた。
「あ~、金か。金だろ? 親父に頼んでなんとかしてもらうからさ」
「あなたのお父さんも選挙違反で逮捕だけれどね」
「そんなのいつもみたいに金を払えば警察だって見逃してくれるじゃん」
その言葉に虎二郎を拘束していた三人の警察官が反応する。
ギリッと締め上げられた虎二郎は「痛い、痛い」と訴えた。
「ねぇ、こじろうくん。警察はどんなことをしてくれるの?」
「おい、余計なことを言うな! 虎二郎! しゃべるな!」
大久間が激しく抵抗してもざわついた周りの人たちの声で、大久間の声は虎二郎には届かない。
「もう少し詳しく教えて。お父さんにどんなことを頼むの?」
「えぇ~? ルカちゃん知りたいの? まぁ、いろいろあってさ」
「なんでもいいの。今までのすごいことを教えて」
すごいという言葉に虎二郎がニヤリと笑う。
瑠花はペン型のボイスレコーダーがまだ赤く点滅していることを確認すると、そっと左手を身体の後ろに隠した。