恋愛短編集10作品
9.S・M・L~恋の定義
最初は多分・・
最近、彼女が欲しくなってきた。
と、言うのも。
「朗、俺も彼女が欲しいカモしれない。」
「あっそう。どうでもいい、ハナに手を出さなければ。」
そっけない返事で、俺を全く見ずに彼女とイチャイチャ。
「へぇ~村島君って、もっと真面目かと思ってた。まぁ、どうでもいいけど。」
この二人、似た者同士だな。
「はぁ。」
ため息を吐き出し、教室の中を見渡してみる。
高校生になって、ある程度の自由にそれぞれの時間。
そんな中、女の子と目が合って、じっと見つめる数秒。
どう反応していいのか、俺はひきつった笑顔をしたような気がする。
相手は新たな反応なし。
目が合ってなければ自然なのか、不自然な程ゆっくりと逸れていく視線。
俺の勘違いだったのかな。
星崎 瑠々(ほしざき るる)
外見は普通なのかな。基準が分からない。
地味に見せているというより、あまり流行りに乗らないだけの真面目風女子。
俺は視線を友人たちに戻す。
「なっ、何見てんだよ。」
さっきまで無視していたくせに、そろって俺の様子を観察しながら、意味深な笑み。
「ふ~ん、さすがモテる男は違いますね。」
まぁ、バレンタインのチョコや告白やら少なからず経験があるものだから、女子から嫌われてはいない自覚がある。
かと言って、付き合うのは誰でも良い訳じゃない。
「瑠々ちゃん、可愛いって言うより綺麗系だよね。そしてクールっぽい。うん、私が友達になるにはハードルが高いから良いよ。行っちゃいな!」
なんだ、その変な推しは。
「え~っと。俺が誰を選ぶかは、興味がないんだよね?」
さっきまでの態度と一変。
二人はそろって首を横にブンブンと振り、笑顔を見せる。
「まっさか~。俺たち、親友だろ?」
「そだよ、親友の彼女は私の友達。そんな大事な事も分からないなんて、村島君はオバカなの?」
彼氏の親友(?)を、ここまで言える彼女を見て尚。
何故か、付き合いたい彼女が欲しいと思わせる魅力があるのだから不思議だ。
「あぁ、吉田は友達がいないからなぁ。でも俺が付き合う子と、友達になれるかは別の話じゃね。」
だって、そんな付き合いまで求めていない。
そもそも好きという感情が分からないのだから。
「あぁ~あ、ハナを傷つけたなぁ。こいつは友達なんかいらないんだよ、俺がいれば。」
「女友達は欲しいよ!私から友達を奪ったのは朗じゃん。」
誤解が生じそうな会話を平然と。
それでも二人の気持ちが、お互いを好きだと判るから。
だから羨ましいんだ。
休み時間終了のチャイムと共に、何も無かった様に自分の席へと戻って行く二人。
「吉田、ごめんな。」
「瑠々ちゃんを落としたら、許してあげる。」
何故に、上からですか?
好きの感情も、星崎をどう思っているかも、全く認識なく。
行動力のある奴らが読めずに、ただ茫然と。
「あの、私に用って何かな?」
どうして呼び出してしまうのかな?
しかも俺が用事って。
もう、どうでも良くなってしまうのは自分の性格なのか諦めなのか。
「星崎、俺のこと好きなの?」
しまった。もっと、違う聞き方があったはずだ。
「そうよ。」
え?
パニックになった俺を冷静にする、真っ直ぐな視線。
俺の事を好き?
まさかの即答に、思わず質問。
「え、じゃぁ。付き合って、くれる?」
「嫌よ。」
なんだろうか、これはイタズラの何かですかね?