【短編集】あなたのおかげで今、わたしは幸せです
「お嬢様はディアブローゼ次期公爵との婚約が決まりましたので」
「婚約? ディアブローゼ次期公爵って……だけど、公爵は奥様との間に後継者が生まれなかったって話でしょう? 傍系から養子をとられたのかしら?」
戸惑いながら尋ねるとアンセルはさらに笑みを深める。それからわたしの手をギュッと握った。
「……ええ。公爵の実の子である『私』があとを継ぐことになりましたので」
「え……?」
公爵の実の子? 私……ってことはアンセルが次期公爵ってこと?
状況がまったく飲み込めていないわたしに、アンセルは静かに息をついた。
「私には母親がおりません」
「知ってる。だからお祖父様である執事長のところに――わたしの屋敷に来たのよね」
「ええ。母は生前ディアブローゼ公爵家に侍女として勤めていたところ、現公爵と恋に落ち、私を身ごもったのです。けれど、身分の差から妻として受け入れてはもらえず……」
「まあ、そうでしょうね」
相手は公爵だもの。受け入れてもらえなくて当然というか、そのへんの事情についてはわからなくはない。
「婚約? ディアブローゼ次期公爵って……だけど、公爵は奥様との間に後継者が生まれなかったって話でしょう? 傍系から養子をとられたのかしら?」
戸惑いながら尋ねるとアンセルはさらに笑みを深める。それからわたしの手をギュッと握った。
「……ええ。公爵の実の子である『私』があとを継ぐことになりましたので」
「え……?」
公爵の実の子? 私……ってことはアンセルが次期公爵ってこと?
状況がまったく飲み込めていないわたしに、アンセルは静かに息をついた。
「私には母親がおりません」
「知ってる。だからお祖父様である執事長のところに――わたしの屋敷に来たのよね」
「ええ。母は生前ディアブローゼ公爵家に侍女として勤めていたところ、現公爵と恋に落ち、私を身ごもったのです。けれど、身分の差から妻として受け入れてはもらえず……」
「まあ、そうでしょうね」
相手は公爵だもの。受け入れてもらえなくて当然というか、そのへんの事情についてはわからなくはない。