The previous night of the world revolution4~I.D.~
─────…ルルシーには、とてもではないが言えない。

だが、俺は正直…駄目そうだった。

地獄のような記憶を経て、「ルレイア・ティシェリー」は強くなった。

多分、誰にも負けないくらい強くなった。

でも「ルシファー・ルド・ウィスタリア」は、変わっていなかった。

あの日、自分で手首を切って死んだ日から、一歩も進めていなかった。

この身体にずっと封印されていた、弱い方のルシファーは…忌々しい『ホワイト・ドリーム号』の音響波によって、再び目覚めた。

そして、塞がっていたはずの傷口が抉じ開けられた。

止めようとしても、止めようとしても、血が溢れ出して止まらない。

このまま、シェルドニア王国に着くまでに、血が止まらなかったら…。

…今度は、死ぬのは俺だ。

だから、その前に。

まだ俺が、ルレイア・ティシェリーであるうちに。

どうしても、ルリシヤに頼んでおかなければならないことがあった。

「…ねぇ、ルリシヤ。あなたに頼みがあるんですけど」

「…ん?」

ルリシヤは、マッサージする手を止めた。
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