The previous night of the world revolution4～I.D.～

犯罪が少ないと言うのは、確かに良いことかもしれない。

お陰でシェルドニア人は気性が穏やかだし、喧嘩や言い争いもほとんど見かけない。

それなのに食料品店は何故ああも残酷なのだろうかとは思うが。

穏やかなのは良いことだが、それは…国に洗脳されたからだ。人間本来の在り方なんて、完全に無視している。

知らないままに操られて、自分本来の人間性をねじ曲げられて…それで、生きていると言えるのか？

この国に来てからというもの、俺はそんなことばかりを考えてしまう。

考え方によっては、この国は理想国家だ。

でも、俺はそうは思わない。

…ルレイアを盗られたから、余計にそう思うのかもしれない。

そうだ、ルレイアと言えば。

俺達が潜伏生活を始めて、一週間ほどたった頃。

俺達は、件の国王ミレド・トレギアスの姿を初めて見ることとなった。