The previous night of the world revolution4~I.D.~
…そして、今に至る。





「うん、ルルシー先輩。なかなか行けるぞこれ」

「そうか…。まぁ…美味いけどさ…」

あのグロい魚、料理してみたけど。

食べてみると、意外に美味しい。

こっちの、正体の知れない水色の実も、皮剥いて炒めてみたら、なかなか美味しい。

侮れないもんだな。

「シェルドニア料理も捨てたものじゃないな」

「…」

ルリシヤは、平然ともぐもぐ食べていたが。

俺は、なかなか箸が進まなかった。

箸って言うか…フォークなんだけど…。

「どうしたルルシー先輩。魚の顔面がフラッシュバックして食べられないか?」

「いや…そうじゃない…」

ってか、思い出させるな。

「…ルレイア先輩が心配か?」

「…まぁな」

ルリシヤには、当然お見通しだよな。

「顔に書いてあるぞ。『ルレイア先輩が心配だ』って」

「…そりゃ心配もするよ」

あいつが何処で、何をしてるのかも分からない。

生きてはいる…と思うけど。

俺の見てないところで、今も苦しんでいるのかと思うと…いてもたってもいられなくなる。

俺、こんなところで飯なんて食ってて良いのかな。

もっと焦るべきじゃないか?

しかし、ルリシヤは俺のそんな心境を見破っていた。

「焦るなよ、ルルシー先輩。焦って失敗して捕まったら、手に負えない。俺達が今出来るのは、体勢を整えながら機を待つことだ」

「…そうかもしれないけど。でも…」

「まずは、目の前の食べ物を食べることだ。いざというときの為にも、体力をつけておかないと」

「…あぁ、そうだな」

ルリシヤの言うことは、正論だ。

正しいとは分かってはいるのだが…どうしても…心配になってしまう。

…こんなに長くルレイアの顔を見ない、声も聞かない…それどころか生死すら分からないのは…初めてかもしれないな。

…我ながら、よく正気でいられるものだ。

「…あ、そうだルルシー先輩」

「うん?」

「今夜、食事が終わったら、ちょっと出掛けよう」

「…出掛ける?何処に?」

「ホテル」

「は!?」

ホテルって…一体どういうことだ?

ルリシヤが、ルレイア化したのかと思ったが。

「ルティス帝国と連絡を取る目処がついたんだ。住み処が割れたら困るから、ホテルでやってみよう」

「あ、そ…そういうことか…」

ごめん。俺ルレイア脳になってた。

これは俺が悪い。
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