The previous night of the world revolution4~I.D.~
「る~るし~」

…何だろう。激しく嫌な予感。

「…何だよ、ルレイア」

「俺、クリスマスプレゼント欲しいな~」

…クリスマスプレゼントだと?

お前、良い歳して。

「…分かったよ。ケーキでも買っとくよ」

「ケーキも良いですけど、俺、実は欲しいものがあるんですよね~」

…。

「…聞くだけなら、聞いてやる」

するとルレイアは、目をきらんきらんとさせながら、際どい上目遣いで、

「…ルルシー」

…と、言った。

…何これ。誕生日のとき同じやり取りしなかった?

またやるの?

「断る」

「何で~!俺はルルシーが欲しいですよぅ」

お前な、誕生日のときも言ったじゃん。

やらねぇよ。

「うるせぇ。誰がやるか」

「酷い!えーんシュノさん、ルルシーが俺にクリスマスプレゼントくれないんです~!」

あっ、こいつまた。

隙あらばシュノに泣きつきやがる。

そしてこんなとき、シュノは必ず本気にするので。

シュノは、きっ、と俺を睨んで抗議した。

「ルルシー!それは酷いと思うわ。恋人にクリスマスプレゼントあげないなんて!」

「…恋人じゃねぇよ…」

もう何度目だよ、このやり取り。

いい加減不毛では?

と、思ったが。

「元気を出してくれルレイア先輩。俺が代わりに、ルルシー先輩の寝室に忍び込んで、ルルシー先輩の寝顔動画を撮影して、編集してからルレイア先輩にプレゼントするから」

「わぁい!ルリシヤ素敵!ありがとうございます!」

「ふふ、任せてくれ。昨日下見も済ませたからな。あとは撮影するだけなんだ」

「おい待て。おいちょっと待てルリシヤ!」

聞き捨てならんぞ。何だって?お前。

何をしようとしてるんだ。ってかいつの間に下見しに来たんだ!

「お前!俺の家に忍び込んだのか!?」

「…」

無言で、しかも真顔でこちらを向いたルリシヤは。

すっ…と目を逸らした。

「…とにかく、楽しみにしててくれ、ルレイア先輩」

「はーい!うふふ、ルルシーの寝顔動画~♪」

ルリシヤ…お前…なんてことを。

一応俺のマンションは、敵組織の襲撃や暗殺に備えて、セキュリティ対策は万全のはず…なのだが。

どうやって侵入したんだお前は。こんなことで無駄な才能を発揮するな。

…今日、帰りに…南京錠買って帰ろう、と思った。
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