The previous night of the world revolution4~I.D.~
なんとか抗議しようとしたが、時既に遅く。

ルレイアは二人分のケーキを皿に乗せ、フォークで一口分を切り取って、満面の笑みで俺に差し出した。

「はいっ、ルルシー、あーん」

「…」

…何が嬉しくて。

ルレイアにあーんされなきゃならんのだ。

「…自分で食べるよ」

「やです。ルルシーは俺にあーんされるんです」

やですって。俺もやだよ。

「文句言うなルル公!むぐむぐ。ルレ公のあーんなんて、むぐ。して欲しくてもしてもらえない、むぐむぐ。ハーレム会員だっているんだぞ!」

アリューシャは食べながら喋るな。

「ってかケーキうめぇ。アイ公も食べてみなよ」

「うん、本当。これ美味しいね」

普段は甘いものはあまり食べないアイズレンシアも、絶賛である。

「…これ、美味しい…!」

「さすがルレイア先輩のゴスロリ印のケーキだな」

シュノとルリシヤも同様。

「ほらほら、美味しいですよ~?俺があーんしてあげますからね~。はいあーん」

「…」

…にまにましやがって。こいつ。

「…嫌なんだけど」

「はいルルシーあーん」

「ちょ、無理矢理食わせんな!」

ルレイアは無理矢理フォークを俺の口に押し当ててきた。

なんて強引なあーん、だ。

無理矢理口に入れられたケーキは、確かに美味しかったけど。

「はいっ、じゃあ役割交代しましょう。ルルシー、俺にあーんしてケーキ食べさせてください」

「…」

わざわざ俺に使ったのと同じフォークを差し出して、満面笑みであーん要求するルレイア。

…こいつ…。

「…自分で食えよ…」

「俺、あーんしてもらわなきゃ食べませんから。あーケーキ食べたいな~」

「食べさせてもらえなきゃ食えないなら、食うな」

「仕方ないですね。ルリシヤ、ちょっとスタンガン貸してください。こうなったらルルシーを気絶させて、無理矢理でもあーんしてもらうので」

「あぁ、分かった。はい、ルレイア先輩」

「おい待てやめろ。分かった、分かったからスタンガン向けるのやめろ」

それ気絶じゃ済まんだろ。死ぬ奴だろ。

ルリシヤのスタンガンでバリッと一発気絶させられるよりは、ルレイアにあーんした方がマシだ。

「ったく…何で俺がこんなことを…」

溜め息をつきながら、俺はフォークでケーキを切り分け、それをルレイアに食べさせてやった。

「ほら、あーん」

「あーん」

全く、良い歳して何やって、

と、思ったそのとき。

ぱしゃっ、と音がした。

「…」

「…」

横を見ると、カメラを構えたルリシヤ。

「…ルリシヤ、お前今何した?」

「ん?別に何もしてないぞ?」

「何もしてない訳ないだろ。そのカメラは何だ」

「何もしてないと言うのに、ルルシー先輩は被害妄想が強いな。…あ、ルレイア先輩。今の写真は後でこっそりPCの方に送るよ」

「はーい!いつもありがとうございます」

何が被害妄想が強いだ。写真とか言ってる時点でバレバレだろうが。

せめて本人がいないところで話せ。
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