The previous night of the world revolution4~I.D.~
「さて、それじゃ改めて…プレゼント交換を始めましょうか」

「おい待て。ルリシヤ、お前ルレイアに何を言った?まさか不正行為を…」

「BGMは昨日MVが公開された、『frontier』の新曲クリスマスソングで良いですよね?一番のサビが終わったら止めるので」

「こら、ルレイア!話を聞け!」

しかし、ルレイアは強引に動画の再生ボタンをポチ、と触った。

流れ出すのは、ルレイア達が大好きな『frontier』の新曲だ。

室内に響き出す、『frontier』のイケメンボーカル、ルトリア・レイヴァースの歌声。

相変わらず歌上手いな、この人…。

いや、それは良いんだけど。さっきのルリシヤとルレイアの密談は何なんだ。

なんか、もう嫌な予感しかしない。

何を企んでいるのかと、びくびくしながら…一番のサビが終わる。

「はいっ、終了です!今手元にあるプレゼントが自分のですよ」

動画を止め、ルレイアはそう宣言した。

今手元にあるプレゼント。

手元を見下ろすと、そこには。

「…」

「うわ~ルルシー。それ、俺の用意したプレゼントじゃないですか~。ルルシーが受け取ってくれるなんて、凄い偶然ですね~」

…棒読みだぞ、ルレイア。

「そして俺に回ってきたプレゼントは…わぁ、ルリシヤからじゃないですか~。嬉しいな~」

…成程。

ルリシヤと何やらひそひそしていたのは、これだな?

「…八百長だ八百長!異議を申し立てる!やり直しだ!」

「お!アリューシャ、アイ公からのプレゼントだ!中身何~?」

「アシスファルト産の砂糖を使ったキャンディと、クッキーの詰め合わせだよ」

「やった~!キャンディいただきまーす」

「こらアリューシャ!早速開けんな!」

もらったそばから開けんな!子供か!いや子供だったな!

「おいルレイア!ルリシヤ!お前ら何を…!」

「あっ、私ルルシーからのプレゼントだわ。ありがとう」

「えっ、あ、うん」

俺が用意したプレゼントは、シュノに回ったようだ。

ちなみに用意したのは、ユニセックスなデザインの膝掛けと、ネット通販で買った薔薇の香りのバスソルトだ。

「膝掛け欲しかったから、嬉しい。大事に使うわね」

「う、うん」

喜んでくれてるみたいで、何より。
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