The previous night of the world revolution4~I.D.~
甲板には、例の民族音楽が低く流れていた。

風がほどよく冷たくて気持ち良い。

おまけに。

「わー…。きれーい」

まるで俺の次くらいに綺麗じゃないか。

この、甲板から眺める夕焼けよ。

しまったな。ルルシーとルリシヤにもついてきてもらえば良かった。

こんな絵になる景色、一人で堪能しても意味がない。

「…あ」

そのとき、俺はシェルドニア人の青年の言葉を思い出した。

夕焼けの時間に『白亜の塔』に上ると、凄く綺麗なんだっけ。

折角だし、行ってみようか。

俺は甲板から展望台に…『白亜の塔』に上ってみた。

民族音楽の音が、更に大きくなった。

「わぉ…良いですねぇ」

あの青年の言う通り、展望台から見る夕焼けは、絶景だった。

これは良い。

「ルルシー達にも…見せてあげ…た…」

…そこまでが、限界だった。

俺はその場に、がくん、と膝をついた。

頭の中に、シェルドニアの民族音楽がガンガンと響いていた。






「…」

意識を失った俺に、ゆらり、と黒い影が近づいてきた。




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