The previous night of the world revolution4~I.D.~
その夜、俺は夢を見た。

昔の夢だった。

俺が…まだ、ルシファーだった頃の夢。

ルシファーとして、あの忌々しい帝国騎士官学校にいた頃の夢。

夢の中で俺は、帝国騎士官学校の学生寮、三階のN室にいた。

そこには当然、あいつらがいた。

俺をいじめて…リンチにして…楽しんでいた、思い出すだけで吐き気がするルームメイト達が。

昔の夢を見るのは、初めてではない。

むしろ、よく見る夢だ。

帝国騎士団にいた頃や、その後二年間入院していた頃は、この夢を見る度にうなされ、寒気を覚えたものだ。

しかし、マフィアに入ってからは。

ルレイアになってからは、俺はこの夢を見ても、恐ろしいとは思わなくなった。

怖くなんてなかった。

俺は、夢を夢だと理解していた。これが、とっくに過ぎ去った過去であることも。

シューレンもベリエスも、もうここにはいない。

それどころか、この世にすらいない。

俺がぶっ殺したから。

夢の中には、俺をイビって遊んでいた教官も出てきた。

この人もこの世にはいない。俺が殺した。

俺は死者を恐れない。いつだって、自分が殺した相手に怯えたことはない。

彼らがどれだけ夢の中で俺に呪詛の言葉を吐こうとも、俺が怯えたことはなかった。

それなのに。

俺はその日、夢の中で、自分が夢の中にいることに気がつかなかった。

何もかもが妙にリアルで、まるで現実のことのように思えた。
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