嘘八百
大学四年生の鈴炉はもう内定先が決まっているらしく、今年度末には辞める予定だ。一年の頃から雪と働いているので、バイトの面子の中では一番交流がある。
「でも結局、京橋さんが総取りしてくみたいな」
「してくわけないでしょ。大体は引いた顔して関わらない。そのうえで話しかけてくる奴は変人」
「なるほど。あのお客は変人」
察しが良い。聞けば大手企業営業に配属されたそうなので、雪もその有能さには頷けた。副業はオッケーなのかどうか聞いてこいと言ったほどだ。
勿論、オッケーなはずがなく。
店の扉が開く音に二人で視線を向ける。