嘘八百

 コーヒーがテーブルに到着し、雪は冷ましながら飲む。先に岬は食べ終えていた。

「京橋ユキ」
「なんですか」
「これも偽名か?」

 ぎろり、と雪の瞳だけが岬へと向いた。それから、にこり、と作り笑顔が見える。

「まさか」

 偽名なのだな、と岬は確信した。が、それを口に出すことはしなかった。

「夕方以外はどこで働いてるんですか」
「黙秘で。あんたの方が年上でしょ? 敬語やめれば」
「君はいくつなんだ」

 幼い子に尋ねるような質問の仕方に、雪は思わず破顔する。

「いくつだと思います?」
「ハタチ」
「茶番」

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