嘘八百

 おっけ、と雪はスマホをしまった。丁度お茶を飲み終えるタイミングで、玲香が伝票を持つ。

「依頼時間分ね」

 そう言って会計へ進んだ。

「男前だこと」



 雪が病院の休憩室で眠っていると、横から声をかけられた。

「お前上がりだろ? 帰れよ」
「ちょっと寝てから帰ります……」
「じゃあ仮眠室行け。空いてんだろ」

 厨房の先輩である日暮(ひぐらし)が指で示す。

「仮眠室行ったら夜中になります……」
「早く帰れよ」

 最後のがお互いの本音である。
 目を瞑る雪へ日暮が手を伸ばす。マスクへと届く前に、雪が目を開いた。

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