嘘八百

「マスクずっとしてて、しんどくねえの」
「習慣です」

 していない時間の方が少ないのでは、と思う程だ。雪は起き上がり、マスクを顎まで下げて手元にあったミネラルウォーターを飲む。
 日暮はその顔を見下げた。

「何か用ですか?」
「いや……次の休みって」
「空いてないですね」

 即答。近くのテーブルで昼食を食べていた尾野(おの)が噴き出し、笑う。

「玉砕」
「尾野、お前」
「日暮先輩、セクハラになる前に諦めた方が良いですよお」

 くつくつと肩を震わせながらもアドバイスを口にする。

< 38 / 80 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop