嘘八百

「尾野ちゃんって日暮さんのこと嫌いなの?」
「いや別に。自分ならイケると思ってるオッサンはキライです」
「潔いなあ」

 ちら、と尾野が雪を見る。カラコンが入っているのだろう、色の入った瞳に環がかかっていた。
 なにか、と目で返す。

「ああいうオッサンの、甘い上澄みだけを啜ろうとする京橋さんの姿勢も、少しキライです」
「潔癖だなー」
「そういう姿勢が、ああいうオッサンを増長させるんですよ」
「何か悪いことか?」
「他の人がされて嫌な思いをしたり、」
「そんなん断れない奴の責任だ。周りの奴の所為にすんなよ」

 雪が鼻で笑う。尾野はその言葉に箸を止めた。

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