嘘八百
そんなの知らない。
子供の頃に来なかったサンタのように、届かなかったプレゼントのように、知らなかった。だから、知らないままだ。
「この世の何にも、価値なんて無いんじゃない? 名前も、住所も、生き方も、存在も」
「そんなことないと、俺は思う」
「あんたにはあると思うよ。金持ちのご家庭に生まれて、エリートの道を辿って今そこに立ってるんだから。生まれ落ちた時から存在価値があったんでしょうよ」
雪は嘲笑った。岬のことは見られなかった。
「ドリルだろうと、サンタクロースがあんたのとこには来たんでしょう? それが祝福だって気付かず生きてきたんでしょう?」