嘘八百
岬が止まる。
「聞きたくない」
「勝手に話してるだけだ」
「ラジオかよ。チャンネル替えるわ」
雪は立ち上がり、ケーキ容器のごみを捨てた。
「帰る」
「チャンネル替えるか?」
「そっちのカエルじゃないし」
「あの日、雪が周りのことなんて少しも気にせずにパスタを食べてるのを見て、俺の心は軽くなったんだ」
は? と岬を見る。
岬は穏やかに笑って立ち上がる。
「なんの話?」
「俺が、きみに救われた話」
からりと笑うので、雪は口端をひくつかせる。
なんだか頭が痛くなってきた。