初恋成就は虹色雲のキセキ ~白馬の騎士は鳥かごの中の小鳥を溺愛する~
「…いや、教えてくれてありがとう、徳永さん」

立ち上がり、そう言ったのは…晶人さんだった。

「常日頃から親父はまともなことをしていないとは思っていたけど…まさか買収するためにそこまでしていたとはね……息子として情けないよ」

すると、晶人さんのお兄さん、清志(きよし)さんも立ち上がった。

「そうだな……俺もさすがにそこまでとは思わなかった。…栗原社長を始めご家族の皆様、栗原製薬の皆様、父が本当にとんでもない事をしでかし…誠に申し訳ございませんでした!…本当に…お詫びのしようもございません…!」

最後、振り絞るような声で謝罪の言葉を述べると、二人は深く頭を下げた。

すると、お父さんがお二人の肩にそっと手を触れた。

「清志くん、晶人くん、頭を上げてくれないか。…言ってみれば君たちも振り回された当人なんだから」

「栗原社長…その様に仰って頂き、本当に感謝の言葉もございません。…父のしたことについてはそちらにお任せしたいと思います。…今後、警察で事情を聞かれることになると思いますが、その際は会社としても家族としても、何一つ隠さず協力いたします」

清志さんはそう父に言った後、今度はマイクを持ち、会場に向かって話し出した。

「栗原製薬の皆様…長い間、誠に申し訳ございませんでした。心より深く…深くお詫び申し上げます。…ヒラクボファーマの社員の皆さんにも、息子として、副社長として、本当に申し訳なく思っております…。ヒラクボファーマの今後についてはこれからの話し合いになりますが、ヒラクボを辞めたいという方はお引き留めしません。こんなのが社長だなんて、辞めたくなるのは当然です。…近い内に今後の経営について発表しますので、今日の所はこれで解散とさせて頂きます」

最後に深く一礼すると、お父さんが清志さんのマイクを持った。

「ヒラクボファーマの社員、役員の皆さん。確かに栗原は痛手を被りましたし、平久保社長のしたことは到底許されるものではありません。ですがそれはあなた達、そして、副社長である清志くんや晶人くんの与(あずか)り知らないところで起こった話です。…私は、清志くんと晶人くんなら、きっと素晴らしいヒラクボファーマにしてくれると信じています。ですので、もし退職をお考えになるとしても今後のお話を聞いてからでも遅くはないと思いますよ」

そう話すと、マイクを置いた。


「栗原社長…本当に…本当にありがとうございます!…これからのヒラクボファーマは僕達が変えていきます!」

清志さんが涙を滲ませてそう言うと、「君たちならできるよ」と兄弟二人の肩を優しくたたいた。



そして…ヒラクボファーマの社員の皆さんが会場を出ると、最後に清志さんと晶人さんが会場に深く一礼をし、項垂れる平久保社長を支えながら出ていった。

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