初恋成就は虹色雲のキセキ ~白馬の騎士は鳥かごの中の小鳥を溺愛する~
会場に残った栗原製薬社員のざわつきが収まると、徳永くんがマイクを通して話し出した。
「皆さん、先ほど栗原製薬を徳永の傘下にしたとお伝えしましたが、これはヒラクボファーマの買収から守るためにこのような形を取ったまでで、徳永は栗原製薬の経営に口出しするつもりはございません。ですので経営に関しては特段変わらないかと思いますのでご安心下さい」
すると、今度はお父さんに変わった。
「皆さん、今まで無理難題をお願いしたり私の横柄な態度で迷惑をかけ、本当に申し訳なかった」
深く頭を下げるお父さんに、徳永くんが言う。
「…それも平久保社長を欺く為の布石でしたけどね。敵を欺くにはまず味方から、ですからね」
「いや、そんな大層なものではないよ。でも、社員の皆にも、役員の皆にも…家族にも…本当に長い間苦労をかけたね」
「社長、それならそうと早く言って下されば…」
「正幸くん…すまなかったね。それはまた後ほど説明させてくれ。……では皆さん、今日はこれでおしまいとしよう。お疲れ様でした」
お父さんがそう解散を告げると、司会者の退場を促すアナウンスで、社員はぞろぞろと会場から出ていった。