初恋成就は虹色雲のキセキ ~白馬の騎士は鳥かごの中の小鳥を溺愛する~

役員も皆会場から出ていき、残ったのはお父さんとお母さん、それに…徳永くんと私だけ。


椅子だけが並ぶガランとした広いフロアに、ステージから下りたお母さんがお父さんの元へ近寄った。


「あなた……私にも黙っているなんて…」

「それはすまないと思っていたよ。でも祥子(しょうこ)や正幸くんに伝えていたとして、もし…私の腹積もりがヒラクボに知られてしまったら…私は誰かを疑わなければならなくなる。それはどうしても避けたかった」

「そうだったのね……そうとも知らず私…」

「いや、祥子は正幸くんとよくやってくれていたよ。新薬の開発も知らなかったしな」

「えぇ、あの開発は元々、正幸の指揮だったし…」


「でも栗原製薬を守れたのは、傘下にしてくれた真宙くんと徳永社長、それに快く協力して下さった徳永薬品の皆さんお陰だよ」

「いえ、徳永にとっても嬉しいお話ですから。栗原製薬さんとはこの新薬の開発で長年お世話になっていて、素晴らしい企業だと思っていましたからね」

「本当にありがとう、真宙くん」

「いえ」

そう言うと、徳永くんはゆっくりと私の前に来た。

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