初恋成就は虹色雲のキセキ ~白馬の騎士は鳥かごの中の小鳥を溺愛する~
「真宙…」

「さ、麻里亜、寝室へ行こうか」

…と真宙が腰を上げると、廊下の方から子供部屋のドアに付いたカリヨンを模したウインドチャイムの軽やかな音が聞こえ、その音色と共にトトトト…とかわいい足音が近付いてきた。

そして、リビングのドアが少し開くと「ママぁ…」と半泣き顔の麻彩が顔を覗かせた。


「お、麻彩、どうした?」

立ち上がったばかりの真宙が麻彩の目線の高さにしゃがんで問うと、目を擦りながら眠たげに言う。

「…パパと…ママと……いっしょにおやすみする……まじょがきたら…こわいよぅ…」

そんな麻彩を見て、私達は顔を見合わせ、ふ、と笑った。

「よし、じゃあパパとママのベッドにおいで。今日は三人で一緒にねんねしような」

「うん!」

「ふふ、パパがいるからもう大丈夫。きっと魔女は怖がって絶対に来ないわよ」

「うん!そうだよね!」

「じゃあ麻彩は先にお部屋に行っててね。パパ達は魔女が入って来れないように戸締りしていくから」

「うん!わかった!」

元気にそう返事をした麻彩は、自分のベッドから連れてきたウサギのぬいぐるみを片手に抱き、足取り軽く私達夫婦の寝室へ入って行った。

それを二人で見届けると、真宙がリビングのドアを閉めて部屋の照明スイッチをパチ、と切った。

「…しょうがないな、今日のところはこれで我慢しとく」

何だろう?と思っていると、ドアのすりガラス窓から廊下の明かりが優しく射し込む中、真宙が私を抱き寄せ、愛情たっぷりな深く濃いキスをしてくれた。


「…俺が出張から戻ってきたら…わかってるよね?覚悟しとけよ?」

フッ、と色気を纏う目の真宙に、笑顔で返す。

「ふふ、臨むところよ」

「お、言ったな?じゃあ、麻里亜の恥ずかしい姿をたくさん見せてもらおうかな」

「え!…それは……」

少し躊躇してしまった私に、真宙が微笑んだ。

「ハハ、冗談。麻里亜の嫌がる事はしないから安心して。…まぁ本音としては見たいんだけど」

そう言って私のおでこに、ちゅっ、と優しいキスを落とした。


「…麻彩が俺達のベッドで待ってることだし、そろそろ行くか」

「そうね」

「もしかして、ベッドのど真ん中でもう寝ちゃってるんじゃないか?」

「ふふ、あり得るね、眠そうだったし」

「寝付きが早いのも俺似だよなぁ」

なんて嬉しそうに話す真宙に腰を抱かれて寝室へと向かう。


このような日常の瞬間の一つ一つが何よりの幸せなのだと、いつも思う。

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