初恋成就は虹色雲のキセキ ~白馬の騎士は鳥かごの中の小鳥を溺愛する~
はぁっ……このまま終わらせたくねぇ…


「麻里亜、抱くの…続けていい?」

身体を起こして麻里亜の表情を伺うと、パアッと可愛い笑顔を見せてくれた。

「うんっ、ありがとう、真宙」

「…でも本当に無理はしないで。痛いだけの思いはさせたくないから…」

「うん、わかった。真宙はほんとに優しいね」
にこっ、と俺に優しい笑顔をくれる。


「…優しくなれるのは麻里亜だからだよ」

「ありがとう。でも…遠くから見てただけだったけど…高校の時、真宙はみんなに優しかったよ?」

「あぁ、あれは……」

言葉に詰まる俺を、麻里亜が「うん?」と不思議そうに見るから…少し不安を抱きつつ、俺は話すことにした。


「こんなこと言ったら『イメージと違う』って嫌われるかもしれないけど…」

「ううん、嫌わないから言って?」

「ん……俺、徳永薬品の御曹司って知られてたからさ、嫌われる様な態度とか取れなくて……だからあれは優しさじゃなくて、ただの八方美人だったんだよ。それにさ…俺のイメージっていうか人物像がどんどん作られてって、それを壊さないように勉強も運動も必死だったし。…ふ、ほんとはどこにでもいる普通の男子で、全然そんなイメージ通りの優等生な人間じゃないんだけどね」

自嘲しながら麻里亜を見ると、麻里亜の表情から笑顔が消えていた。

「ごめんね…私、あの頃、真宙にそのイメージの噂話、しちゃったよね」

「あぁ、あれはいいんだよ。麻里亜が俺に対して嫌ってないのがわかったからさ」

そう言うと、麻里亜が優しく微笑んだ。

「あのね…真宙にとっては八方美人にならざるを得なかったと思うけど、でもあの優しさは本物だったよ。私にはそう見えた。真宙はただの八方美人じゃない、本当に心から優しい人なの。…それに勉強だって運動だって、必死に努力できるからすごいの。頭がいい事やスポーツ万能なのがすごいんじゃなくて、そのための努力をしているのがすごいの。…真宙のまわりにいたお友達は、きっとその努力を知ってたんだね」


それは…俺が欲しかった、俺の努力を肯定してくれる気持ちと言葉で…

「麻…里亜……」

ヤバ……また涙が出そう…


「自分で八方美人だって思ったのは、頑張り過ぎてたんだよ、きっと。…それで疲れが出ちゃってたのかもね」


あぁ……高校生というまだコドモだった俺が麻里亜に惹かれた真意が、今やっとわかった気がする。


昔から俺は自己肯定感が低くて、何にでも頑張る事でいつも乗りきってきた。

それが当たり前だったから、頑張り過ぎてたなんて自分では分からなかった。
考えたこともなかった。


そうか…だから俺は麻里亜に癒しを求めたんだ。
この人ならほんとの俺を受け入れてくれる……そんな気がして。


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