訳アリママですが、敏腕パイロットに息子ごと深愛を注がれています。
勘違いしてはいけない、と陽鞠は自分に言い聞かせる。
永翔はこれまでずっと女性にモテてきた人生なのだ。女性の喜ぶことを言うのは慣れている。
これもきっとリップサービスと同じなのだ、と。
「……赤瀬さんこそ、どうしてパイロットになりたいと思ったのですか?」
「俺? 飛行機が好きだから」
飛行機の話題になった途端、永翔の表情が変わった。
「やっぱり一番好きなのはボーイング747かな。大型旅客機はどんどん数を減らしているけど、ロマンの塊というか……いつか自分の手で操縦してみたいよな」
まるで夢を語る少年のような永翔がとても眩しく見えた。キラキラした王子様のイメージしかなかったが、素顔の永翔は無邪気な一面もある。
知らなかった彼のギャップにずっとドキドキしっぱなしだった。
「……って、ごめん。つまらなかったよね」
「いえ、楽しいです。もっと聞かせてください」
これは本心だった。正直飛行機の話はよくわからないけれど、好きなものを語るキラキラした彼のことはもっと見ていたいと思った。
「――俺も君のことがもっと知りたいんだけど」
「えっ」
「彼氏はいるの?」
「かっ、彼氏なんて! いたことありませんっ」
ただいません、とだけ言えば良かったのについそんな言い方をしてしまった。