訳アリママですが、敏腕パイロットに息子ごと深愛を注がれています。
「いたことがない? 一度も?」
「笑いたければ笑ってください。二十六にもなって浮いた話が全くなくて」
なんでこんな言い方になってしまったのだろうと、口にしてから後悔した。
こういうところが自分のモテないところなのだと悲しくなる。
「……いいことを聞いたな」
「なっ、どういう意味ですか?」
「君のこと、返したくなくなるんだけど」
「っ!」
恋愛経験がないとはいえ、その言葉の意味を察せない程子どもではない。
「もっと一緒にいたいって言ったら……どうする?」
「……ずるいです」
憧れの人にそんなことを言われて、断れるわけがない。本気になってはいけないと警鐘が鳴っている。
遊ばれているだけだったとしても、彼の手を取りたいと思ってしまった。
「ん……っ」
ホテルの部屋に着いた途端、貪るように唇を奪われた。
初めてで呼吸ごと奪われるような口付けは酸欠寸前だった。
ベッドに誘われ、押し倒されて服を脱がされる。素肌が露わになった姿をじっと見下ろされると、心が落ち着かない。
「あまりじっと見ないで……」
「どうして? こんなに綺麗なのに」
自分でも知らなかった自分を暴かれていくようで、少しだけ怖くもあった。
ぎゅっと目を瞑っていると、額に優しく口付けが落とされる。
「嫌ならやめる。今ならやめてあげられる」
「……っ」
泣きそうになりながらふるふると首を横に振ると、彼はふっと笑みをこぼしていた。
優しく頬を撫で、ちゅ、ちゅ、と全身に口付けが降り注ぐ。それを享受するだけで必死だった。