訳アリママですが、敏腕パイロットに息子ごと深愛を注がれています。


* * *


 それ以来時間を見つけて二人で会うようになっていた。
 お互い不規則な仕事なので決して多くはない。だがメッセージのやり取りはほぼ毎日していた。


(これって付き合っているのかな?)


 だがそれを確かめる勇気は陽鞠にはない。
 二人で会っている時間は幸せだし、彼の何気ない言動から愛情を感じる部分もある。
 それでも恋人同士だと言えないのは、永翔からはっきり告白されたわけではないからだ。


(私のことどう思ってる? なんてとてもじゃないけど聞けない……)


 知れば知るほど永翔に惹かれてゆく。
 優しくてたまに意地悪で、飛行機が大好きで時に少年のように無邪気な彼に惹かれる気持ちは日に日に膨らんでゆく。

 アイドルを推すファンのような気持ちでないことは、流石に気づいていた。
 それでも陽鞠に踏み出す勇気などなかった。


「ねぇ、あの子でしょ? 赤瀬さんと一緒にいたの」
「赤瀬さん、あんな地味な子が好きなの? 釣り合わないにも程があるでしょ」


 CAたちから陰口を叩かれていても、その通りだなと受け入れてはまた落ち込む。
 そしてどんどん聞けなくなってしまうのだ。

 永翔が軽々しく遊ぶような人物ではないとわかっていても、自分に自信がないから踏み出せない。
 仮に恋人同士になれたとして、自分と彼とでは釣り合わない。釣り合うわけがない。

 それでも彼の傍にいられるのなら幸せだと思おうとしたこともあった。
 しかし、その夢も脆く崩れ去ることになる。


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