訳アリママですが、敏腕パイロットに息子ごと深愛を注がれています。


「陽鞠さん、何をしているの? ぐずぐずしていないで早く奥様方をご案内してちょうだい」
「すみません、お義母様」
「気の利かない子ね。烙条家の嫁なんだからしっかりしなさい」


 義母は何かあるとすぐに陽鞠をなじる。
 義母は昔ながらの考え方で、家を支えることこそ妻の務めと自負している。そしてそれを若い頃から完璧にこなしてきた人だ。

 烙条家という家を誇りに思っているが故、小さな綻びも許せない人だった。


「もう少し気がつく子だと思っていたのだけど、やはり育ちが悪いとどうにもねぇ。限界があるようだわ」
「……すみません」


 嫌味を言われる度、自分の両親のことを馬鹿にされた気持ちになる。義母が海外を飛び回って仕事する両親を良く思っていないのは、顔合わせの時から何となくわかっていた。

 それでも陽鞠にとっては大好きで尊敬する両親だ。
 GSになりたいという夢を見つけられたのも、両親が子どもの頃から何度も旅行に連れて行ってくれたからだった。
 今となっては、GSとして働いていたことが遠い昔のように感じられる。


「まま、みて〜」
「あら叶空、上手だねぇ。お絵かきしたの?」
「ひこーきかいたの」
「飛行機? すっごく上手だね!」


 叶空は飛行機が大好きだった。
 飛行機図鑑を買ってあげたらとても気に入り、飛行機のおもちゃでよく遊んでいる。


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