訳アリママですが、敏腕パイロットに息子ごと深愛を注がれています。
二、再会と告白
烙条家を出て行くと決めたものの、そう簡単には行動に移せなかった。
黙って出て行くにしても、専業主婦の陽鞠が幼い叶空を連れて出て行くのは大変だ。
両親は海外だし、余計な心配はかけたくない。
(多分淪太郎さんは私が何もできないと思ってるんだろうな)
実は無精子症候群で叶空が自分の子ではないことは、誰にも知られたくないはずだ。
それでも淪太郎は陽鞠が何もできないと舐めている。だからあんなに傲慢な態度を取れるのだろう。
実際今再就職先を探すのが難しいことは理解していた。
叶空がいるから時短勤務になるし、叶空を預ける保育所も探さなければならない。
それらを淪太郎に隠れて準備するなんて、できるのだろうか。
(でも今のままでは絶対ダメ。何とか離婚したい!)
そんな時、大学時代からの親友・四葉芽衣から届いたメッセージが陽鞠の一筋の光となるのだった。
「陽鞠、久しぶり! 元気? 実は結婚することになったの! 陽鞠にも結婚式に出て欲しいな」
親友からの久しぶりの連絡、喜ばしい報告にすぐに電話をかけた。
「芽衣! おめでとう!」
《ありがとう、陽鞠!》
芽衣はRALでCAとして働いており、大学時代から同じ航空業界を目指していたのでとても仲が良い。
GS時代は頻繁に連絡を取り合っていたが、陽鞠が結婚してからは少し疎遠になっていた。