訳アリママですが、敏腕パイロットに息子ごと深愛を注がれています。


《陽鞠は東北での新婚生活どうなの? もう三年だっけ? 新婚って感じでもないか》
「……」
《陽鞠?》
「っ、芽衣……っ!」


 今は芽衣を祝福しなければならない。せっかくおめでたいのだから、湿っぽい話はしたくない。
 でも芽衣の声を聞いていたら、涙が堪えられなくなっていた。


「芽衣、助けて……!!」
《陽鞠!? どうしたの!?》


 陽鞠は涙ながらにこれまでのことを全て話した。
 うんうんと相槌を打ちながら聞いていた芽衣は、全てを知って激怒した。


《信じられない!! そんなクズとは離婚すべきよ!》
「私もしたい……でも、どうすればいいかわからない……」
《陽鞠、RALに来ない?》


 芽衣の突拍子もない提案に思わず涙が引っ込む。


《実は私の旦那、GS部門の部長なんだけど最近人がごっそり抜けて人手不足だって嘆いてるのよ》
「それは有難い話だけど、いいの?」
《うちの会社、社員からの紹介で採用されるとお互いに三万円のボーナスがあるの!》
「ほんとに?」
《陽鞠なら即戦力だと思うし、大丈夫よ。GSはママさんも多いし、何より託児所が併設されてるから安心よ》


 福利厚生が完備されていること、託児所が併設されているのは流石は大手と言ったところだろうか。
 あのRALでGSとして働けるなど願ってもない話だ。


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