訳アリママですが、敏腕パイロットに息子ごと深愛を注がれています。
「まま、どこいくの?」
「これから飛行機に乗るよ」
「ひこーき!?」
「楽しみだね」
叶空は大好きな飛行機に乗れると聞いて大喜びだった。
落ち着いて叶空にはちゃんと話そうと思った。どこまで理解できるかわからないが。
航空券は芽衣が手配してくれた。
芽衣がCAとして乗る便を手配してくれたようで、とても心強かった。
まさかその機長を務めるのが、永翔だとは思わなかったけれど。
(RALに就職したら会う可能性があるかもしれないとは思っていたけど、彼もRALに転職していたのは想定外だった)
冷静に考えると六条財閥の令嬢と結婚したのだから、当然かもしれない。
(彼はパイロットで私はGS、会うことはない。それにもう既婚者のはずだし、私には関係ない人だから大丈夫……)
そう言い聞かせていても、三年振りに聞いた永翔の低くて甘めの声にときめいてしまっている自分がいる。
この気持ちは三年前に封印したはずなのに。
そんなことを考えていたら、東京にあっという間に到着していた。
「どうだった? 叶空」
「たのしかった!」
「良かったねぇ」
「もっかいのりゅ」
「うん、また今度ね」
叶空と手を繋いで機内を降りようとした、その時だ。
「――陽鞠っ!!」