訳アリママですが、敏腕パイロットに息子ごと深愛を注がれています。
それを聞いた芽衣は顔を真っ赤にして怒りに震えていた。
「信じられない……最低すぎる!」
「でも最低なのは私も同じ。あの人が裕福な家庭で叶空を育てるためのお金に困らないと思った。一人で育てる自信がなかったから、あの人を利用したの」
「そんなのおかしくない。誰だって子どもを育てるのはお金がいるし大変なんだから。そいつこそ陽鞠の気持ちを利用したのよ!」
芽衣が自分のことのように怒ってくれたことが嬉しかった。そう言ってもらえたことで心が救われた。
「ありがとう、芽衣……ずっと自分のこと責めてたからそう言ってくれて救われる」
「陽鞠は悪くない。ただ叶空くんを守りたいだけでしょう?」
「っ、うん……っ」
思わず涙が溢れ出て、親友の肩に寄りかかった。今まで我慢していたものがプツリと切れた。
「ただ叶空と二人で穏やかに暮らしたい……」
「てか赤瀬キャプテンには言わないの?」
「言えるわけないよ……結婚してるのに」
「え? 赤瀬キャプテンって独身よ」
それを聞いて驚いた。
「嘘でしょ? 婚約者がいるんじゃないの?」
「そういう相手はいるかもしれないけど、独身なのは確かよ。指輪してないし」
「でも、三年前に六条財閥のご令嬢と婚約するって聞いたよ?」