訳アリママですが、敏腕パイロットに息子ごと深愛を注がれています。


* * *


「本日よりお世話になります、水鏡陽鞠です。三年前はエアウイングのGSでした。大好きなGSの仕事がまたできることになって、とても嬉しいです。よろしくお願いします」


 今日は陽鞠がRALのGSとしてデビューする初日だ。
 かなり緊張していたが温かい拍手が送られてホッとした。


「水鏡さんのトレーナーは江本(えもと)さん、お願いできますか?」
「えっ、あたしがですか!?」
「江本さんもGSとして頼もしくなりましたし、経験者の水鏡さんなら教えやすいでしょう。期待していますよ」
「はーい、西田部長! 頑張ります! あ、あたし江本由夏(ゆか)です。年下のトレーナーですけどよろしくお願いします!」


 由夏は新卒三年目の若い社員だ。
 入社した当初からGSとして働いているのだという。明るく元気なところが好印象だった。


「江本さん、よろしくお願いします。年上でも江本さんの方が先輩ですから遠慮しないでくださいね」
「はい! よろしくお願いします!」


 その日は由夏が付きっきりで教えてくれた。
 GSとしての心構えはできているつもりだが、チェックイン方法など細かい部分は全く違う。
 最初は覚えることが多くて大変だが、この仕事に戻って来れたのだという実感ができて嬉しかった。


(やっぱり私はこの仕事が好き。早く仕事を覚えて一人前のGSになりたい)


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